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「政治の話」経済の事

投稿日:2022年1月30日 更新日:

菅直人元首相が弁護士の橋下徹さんをヒトラーに重ねて批判して、「維新の会の政治姿勢は新自由主義か福祉国家か曖昧だ。」と言ったことに賛否両論の意見が飛び交っている。
政治家同士の話だからしっかり議論してくれたらいいが、国家の政治・経済の方向性に関しては、古いイデオロギー構造に感じるのは私だけだろうか?

経済的な面から話すと、皆さんもご存じのようにアダム・スミスの「国富論」では、分業論によって生産力が上がり、「見えざる手(公平な観察者)」が調整して、競走することで富が増え、公共の国家に税金が落ちて豊かになるという。

そして、1929年のニューヨークの株暴落から始まった世界恐慌を解決するのに登場したのがイギリスのケインズで、有効需要を作り出すことが必要だと主張した。
アメリカの当時の大統領ランクリン・ルーズベルトもケインズと同様の理論に則ったニューディール政策を発表し、経済の立て直しを図った。
1931年からフーバーダムの建設が始まって景気は回復していくのである。
(注)フーバーダム計画は1928年にフーバー大統領が議会を通過させた。

戦後日本の財務省の考えはまさにケインズ思考で、需要を産み出しながら発展してきた。
ところが1970年頃には「小さな政府」という運動が起こり、アメリカではフリードマンが新自由主義と言って、国家の介入よる規制を緩和して民間の力を十分発揮させるという主張の元で、現在のように投資ファンド会社が大きく育ってしまった。
2008年にアメリカのデリバティブ取引の問題でリーマンショックが起こり、金融の不安定な状態が世界中を駆け巡ったのは記憶に新しい。
一方で1989年にベルリンの壁が崩壊し、1991年にソビエト連邦も崩壊する。
この時に西側の資本主義陣営は勝利したように思ったが、株主資本主義は貧富の格差を生むことから、日本は福祉国家を目指して、資本主義を持続可能にしようとしたのである。

新自由主義は格差を産み、福祉国家は健康な人間を尊ぶのでなく、ポピュリズム(大衆迎合主義)の政治が横行するようになったのも事実だ。
弱者救済は素晴らしいことであることに間違いないが、健全な納税者を育成する自立した教育や人材育成のインフラができていない。
もちろんお金のある人にとっては教育を受けることが現実に出来る状況ではある。

資本主義も情報化社会も人間が創っていることには間違いない。
故に、人間の能力と人間力の両面を磨く人材育成のインフラが必要と感じる。
そして、「分け合えば余る、奪い合えば足らぬ」のように、互恵経済を創り上げていくことが重要だ。
それには「人格」「能力」の両方を磨き、考えが違っても認め合える「利他的な心の醸成」がいる。
人間の遺伝子は利己心で、一番に自己保存、次に種の保存を考えるのが必然だが、社会の中で互いが助け合って分かち合う姿を体感し、利他心に目覚めていくのである。
言い換えれば、人間の奥にある「良心」に従うもう一人の自分を育てるのだ。

このことが根本課題であるにも関わらず、単に利己心を認める方向か弱者に視点を合わせるというポピュリズムでの政治姿勢や経済姿勢では解決しない。

一人一人が日本人であり、日本人の一人一人だ。

皆さんは政治や経済の姿勢いかが思いますか?

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