「能率と効率」を考える

投稿日:2020年8月17日 更新日:

経済は飛躍的に発展し、近代資本主義が発展したのは機械化による工場での生産ができるようになったからだ。
イギリスでは機織りの職人さんが機械に負けて賃金が下がり、自動織機を叩き壊す運動が起こった。
賃金が、機械ができるまでの額になるまでに40数年かかったという歴史がある。

事業の最大の目的は「お金儲け」でなく「公共の利益」を生み出すことと考えるのはキリスト教的な考えである。
もともと原罪を背負った人間は公共のために禁欲を貴び、ひたすら働き発展成長させることに何の疑いもない。
これが欧米の基本的な事業観である。

一方、日本は仏教的な輪廻転生の考えがあり、仕事は自らの人物を磨くものだと考えていて、お金を目的にすることは卑しいと考える傾向があり、むしろ「武士は食わねど高楊枝」とひたすら仕事に励み、自らの輪廻が餓鬼道や修羅道に生まれ変わらないように、自分を磨き、仕事には「奉公」といって、公に仕えるのである。
もちろん事業は人と人の関係性で成り立つので、私的ではありません。
でも一般に民間は私企業という個々人の私人に役立つものを提供するからで、政府のように公の人のために働くのを公人という。
私企業だから自分勝手にやってもいいというわけではないことはお判りでしょう。
私企業も政府や地方自治の人もみんな人とのかかわりの中で行われるのは「公」なんですね。
江戸時代から近江商人は「三方よし」を事業の理念として「売り手よし、買い手よし、世間よし」を固く守って繁栄してきた。

さて、事業には二つの事を実現させねばなりません。
1.コスト削減=これを「能率」の良い仕事をするということになる。
2.商品サービスに付加価値を増やすこと=これを「効率」よく仕事するといいます。現代では目に見えない付加価値「安心納得」がいりますね。

こんな風に二面的な物の見方をするのは仏教から来ています。菜根譚(洪自誠)の本のなかにあります。
この本は豊臣から徳川に変わる時代のもので、道教、儒教、仏教がベースに書かれたと言われる非常にバランス感覚のある指南書だ。

仏教の「空」について書かれたところがあるので紹介する。
「真空は空ならず。執相は真にあらず、破相もまた真にあらず。問う、世尊は如何に発付するや。在世出世、欲に狗(したが)うもこれ苦、欲を絶つもまたこれ苦、吾が儕(せい)の善く自ら修持するに聴(まか)す。」

意味=仏教でいう「まことの空」とは、大いる実態であって、単なる「空」ではない。現象に執着すれば実態を見失い、現象を無視しても実態はつかめない。
ためしにこの問題を釈迦に尋ねてみよう。
「世俗に身をおきながら、世俗を超越せよ。欲望のままに生きるは苦、欲望を絶つもまた苦、自ら修行して不即不離の境地を体得するが善い。」

言うなれば執着もせず無視もせずとなる。

松下幸之助の言葉に、人間に対して「信じて信ぜず」という言葉がある。
日々あらゆるものが変化する世の中で、人間の心も変化することを胸に刻むことだ、自分とって良くも悪くも!

皆さんは自分の仕事を能率よく効率よく運んでいますか?

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