本を読む

投稿日:2012年1月11日 更新日:

私は20代頃までは一冊の本を丁寧に最後まで読んだことはない。
いつも本を読むことにまじめでない後ろめたさを感じていた。
その読み方をする自分の意気地なさが腹立たしかった。

私の好きな小説家の一人に五木寛之さんがいる。
めったに夕刊紙を買うことはないが電車で帰ることになッた昨日は買った。

「正月に読んだ本の片影」という記事のなかに、私好みの文章があった。
それはこうだ。
「締め切りの原稿をわきに押しやり、その辺の本を片っ端から読む・・・
・・・私の場合読書はそれ自体が目的ではない。
私が本を読むのはたいてい現実逃避のひとつの手段である。」
「そんな時の読書は、時間がある時の読書とは全くちがう。
悪いことをしているという甘美な感覚がそこにある。」

私は正月に五木さんの「下山の思想」を読んだ。
この本のタイトルはタイムリーで的を射てる。
閉塞感のある日本の実情で「成長か後退か」の議論でなく、
全く根本概念を一から考え直さすイメージを与える「下山」なのだ。
もちろんイメージするのは「下山」では使う筋肉が違うことは誰もがピンと来る。
「下山」は単に諦める行動でなく、新たな山頂に登るプロセスだという世界観を展開する。

登りが正しいとか、下りが正しいとかの二元論的世界観ではない。
仏教に造詣の深い五木さんならではのタイトルだ。
世の中は諸行無常という流れる時間を表現する歴史観にもとづいてる。

彼は自分の弱みも強みも決して誇張せず、淡々と語りかけるように書く。

仏教者で思い出すのは「良寛さん」だ。
「裏を見せ表を見せて散る紅葉」

みなさんは正月、どんな本を読まれましたか?

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