新しい人間観の提唱(松下幸之助)

投稿日:2014年4月27日 更新日:

昭和47年5月

 「新しい人間観の提唱」

宇宙の存在するすべてのものは、常に生成し、たえず発展する。
万物は日にあらたであり、生成発展は自然の理法である。
人間には、この宇宙の動きに順応しつつ万物を支配する力が、
その本性として与えられている。
人間は、たえず生成発展する宇宙に君臨し、宇宙に潜む偉大なる力を開発し、
万物に与えられたるそれぞれの本質を見出しながら、
これを活かし活用することによって、物心一如の真の繁栄を生み出すことが出来るのである。

かかる人間の特性は、自然の理法によって与えられた天命である。
この天命が与えられているために、人間は万物の王者となり、その支配者となる。
すなわち人間はこの天命に基づいて善悪を判断し、是非を定め、
一切のものの存在理由を明らかにする。
そしてなにものもかかる人間の判断を否定することはできない。
まことに人間は崇高にして偉大な存在である。

このすぐれた特性を与えられた人間も、ここの現実の姿を見れば、
必ずしも公正にして力強い存在とは言えない。
人間は常に繁栄を求めつつも往々にして貧困に陥り、
平和を願いつつもいつしか争いに明け暮れ、
幸福を得んとしてしばしば不幸に襲われてきている。

かかる人間の現実の姿こそ、自らに与えられた天命を悟らず、
ここの利害得失や智慧才覚にとらわれて歩まんとする結果にほかならない。

すなわち、人間の偉大さは、個々の知恵、個々の力ではこれを十分に発揮することはできない。
古今東西の先哲諸聖をはじめ幾多の人々の智慧が、自由に、
なんのさまたげも受けずして高められつつ融合されていくとき、
その時々の総和の智慧は衆知となって天命を生かすのである。
まさに衆知こそ、自然の理法をひろく共同生活のうえに具現せしめ、
人間の天命を発揮させる最上の力である。

まことに人間は崇高にして偉大な存在である。
お互いにこの人間の偉大さを悟り、その天命を自覚し、
衆知を高めつつ生成発展の大業を営まなければならない。

長久なる人間の使命は、この天命を自覚実践することにある。
この使命の意義を明らかにし、その達成を期せんがため、
ここに新しい人間観を提唱するものである。

松下幸之助

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