「青淵論叢(せいえんろんそう)」渋沢栄一に学ぶ

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この本は渋沢栄一の三十一篇の講演・講義が年代順にまとめられたものだ。
ビジネスをする者にとって利潤というものをどう見るかを「道徳経済合一説」として語っている。

江戸時代の利潤や経済は汚いものだと無視する武士階級、一方では商人や農民は利潤のために行動するといったように身分差別の階級を国体としていた。
それが明治維新の後は西洋の知識や技術を学び本質的な人間とは如何にあるべきかを忘れてしまったと断言している。

知識偏重の教育で技術論ばかり学び、人間として修身を学ばないことを憂いている。
若者には教育に孔孟を学び「大学」という本から修身の大切さを学ぶべきと主張する。
一方、出来上がった大人には学びの場として社交場が必要と東京商工会議所を設立するのである。
事業家が事業の改革や改善を異業種から学び、世界的な視野で自らの事業を発展させるように情報交換する場である。

さて、渋沢は「道徳経済合一説」で5つのことを言っている。
1.金儲けは決して否定されるべきことではない。金儲けに成功する富豪が出るようでなければ国は富むことはない。
2.その理由は、富豪は人の見ないところに目を付けたり、創意工夫したり、大衆の望んでいるものを正しく見抜いたり、あるいは時の流れ、勢いといった「未来」を占うために勉強することから生まれてくるからである。
何も努力しない人で富豪になれる人はいない。こうした意欲や意志を否定したのでは、元も子もない。より良き生活をするために利潤追求することは、それ自体としてはむしろ積極的に肯定されるべきである。
3.江戸時代に利潤否定する考えが武士階級で一般的だったのは、儒学のうち利潤追求否定派の朱子学を武士階級が採用していたからである。
しかし、虚心坦懐に「論語」を読めば、孔子は、決して金儲けそれ自体否定していない。否定しているのは「不義にして富む」ことで、正しい倫理による利潤追求は決して否定していないのだ。利潤追求は卑しいことだとしたのは大久保利通、西郷隆盛のような政府高官に見られ、渋沢が大蔵省を辞任したのも結局のところこの金銭軽視が理由だった。
4.利潤追求は、どんなことがあっても肯定されるべきかというと、これも正しくない。「不義にして富む」つまり不正な手段で利潤追求することを否定するべきであることは言うまでもないが、では、不義でない利潤追求なら全く問題がないかというと、そうではない。正しく稼いだお金は正しく使わねばならない。
5.しからば、正しく消費することのできる大富豪なら全面的に許されるかといえば、そうではない。つまり自分一人が大富豪でいることは正しくないのである。なぜかというと富豪ができたために一方で貧乏人ができるということを深く考える。富豪が富豪として当然為すべき務めとして、無産者に向上させていくことに勤めなければならない。そうでないといつまでも富豪として存続することは困難でしょう。

要するに利潤追求は人間のよりよい生活をしたいという本能だから否定してはいけない。
利潤追求は道義に沿って行わなければならない。自分だけ良ければいいという利己的な考えや独占的な方法を捨てる。
利潤追求を長期にわたって持続しようとすれば、利益を広く社会に還元するようにした方が合理的である。
時間において必ず社会に還元された富は自分の利益を増す形で戻ってくる。

戦後生まれの民主主義教育を受けた私たちの時代と変わらない状況に思える。小中学校で道徳の時間があったが、高校になってなくなってしまった。それは天皇中心の全体主義は国民を操る思想教育だということだった。
本来、道徳教育は家庭でなされることかもしれないが、古典の学習として道徳観念を学ぶことは人間の精神を形成する上で非常に大事だと言える。
孔子、孟子だけでなく、荀子や韓非子、墨子など諸子百家時代にはいろんな人物が出て、考え方の切り口を教えてくれている。
日本の古典の万葉集や古今和歌集などからも学べるが、2500年前の中国には学ぶものがある。

皆さんは利潤追求はあくまでも手段で目的ではないと思われますか?

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