私心を捨てよ

投稿日:2015年8月2日 更新日:

伊藤忠の社長を6年され、不良債権処理をされた丹羽宇一郎さんの言葉だ。
尖閣問題が起こった時には中国の大使をなさった人でもある。

「危機を突破する力」と題した新書版が今年の6月に出た。
素晴らしい内容に感動した。
実に目次もシンプルで、5章にわかれている。
1.章人間を知る
2.章関係を知る
3.章世界を知る
4.章時代を知る
5.章未来を知る

すべて紹介したいが、人間を知るの一説をご紹介しよう。

「人間はどんなに口で立派なこと言っても、
空腹になれば他人の食料を奪ってまでも胃袋を満たしたいし、
寒くなればわれ先に暖を取りたい。
そこには自らを最優先に生かそうとする自己保身の本能があり、
他者を犠牲にして省みない残虐性がある。」
「私はそれを『動物の血』と呼んでいる。人間の本性は動物であり、
動物に流れる血治や本性は知識や知能でコントロールできない。
『動物の血』を抑えるのは『神の血』しかない。」

『神の血』
1.物事を俯瞰してみる能力
2.未来の展開を創造する能力
3.相手の立場を理解しようとする能力
本能と結びついた理性でなく、公明正大という天の理法に結びついた理性であり。
私心をなくし決断し行動する(利他行)ことだと結ぶ。

ギリシャの哲人アリストテレス(BC384~BC322)幾何学や理論理学の大家であったが、
すでに知識や学問では解決できない『人間の心の鍛錬』が一番重要と考えていたと世界的な視野らしい、
丹羽さんの比喩表現だ。

『鍛え上げられた心』を自ら自分で創るのが経営者の哲学であり、
会社の命運が懸かる決断をする時には人間的な価値観は判断の基準にならないということだ。
(人間的価値観=本能と理性が結びついた、損得好き嫌い、個人的善悪を意味する)

京セラの名誉会長の稲盛和夫さんが第二電電を創業する決断のとき自問自答されたのは、
電電公社一社の独占ではなく海外の通話ももっと安価にできるためには、」
正しい切磋琢磨の相手の会社の必要だと感じたそうだ。

そこで出てきた言葉が『動機善 私心なかりし』である。
私利私欲を捨てたところでの決断する。

両氏の決断の基準は「天」であり「神の血」である。

私の仕事や人生とは比べようもないが、
今期のビジネステーマの「善思善行」に徹し、
私心をなくす利他行を強く強く念じ行動に邁進する勇気をもらえた本だ。

皆さんは私心捨てられますか?

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