日経新聞の連載記事に「迫る学校崩壊」という見出しを見付けたので気になって読んでみた。
事業の根本は、商品やサービスの開発を時代の要望に応えて提供し続けることが成長だ。そしてそれを産み出すのは「人材」だ。
教育基本法には「幅広い知識と教養(知)」「豊かな情操と道徳心(徳)」「健やかな身体(体)」の発達を目標に掲げている。ところが、少子高齢化と同時に夫婦共稼ぎ世帯の増加は目覚ましく、現代は専業主婦世帯の2倍が共働き世帯ということだ。
この現象は以下の二つのことを引き起こすことになる。
1.PTAの崩壊だ。従来は先生とタッグを組んでPTAが教育に参加して行事などの支援や人員協力など行っていた。ところが、専業主婦が少なくなって、PTAに参加する人が少なくなり支援ができないのが現実だ。
2.もう一つは部活動が思うようにできないので、地域の団体に協力要請しているが人材確保ができない。部活は、体力をつけ、社会性を学び、仲間との連帯感を育むことができる教育の要だが、北海道などの公立高校で野球部やサッカー部が廃部になっていると書かれていた。
昨今は知育が中心で、良い大学に入り一流企業に入社することが目標となり、私塾に行かないと入学できないのが実際だ。
私は教育がこんなことでいいのか?と矛盾を感じて、入学競争に乗らず、三流大学にしか行けなかったが、人間味のある自由な校風が肌に合った。先生にばかり責任を押し付けても仕方がなく、仕組みとしての応援体制が根本的に崩壊していることに課題がある。
事業は根本的に「三方よし」でなければなりません。
まず事業をして、事業良しの実現とお客さんが満足する良しもなければ成り立ちません。それと同時に、働く人を含めて世間(社会)良しがなくては持続的に発展、成長は望めません。
最近はことさら事業は働く人のものだという考えが強く、また人権意識という権利が強調されますが、義務に対して議論を盛んにすることこそ望ましいと察する。これはひいては外部の環境を変えることでなく、自分という人間を自問自答し、自らの魂を磨くことだ。
アメリカでは、リーマンショック(金とドルの交換停止)以後、資本主義は基本的に株主資本主義が当たり前で、時価株を上げることに邁進し、貧富の差を拡大してきた。その反省から、最近は事業に関わるすべてのステークホルダー(利害関係者)仕入れ先や協力業者も含め、お客さんをはじめ事業主といった関係者全員のものという発想になり、究極的に公益資本主義を目指すような理念が飛び出してきている状況だ。
さて、経済的なベースの仕組みも関係するが、社会で生産し消費するのは人間だ。この人間が金銭的利益ばかりを優先するように拝金主義者になったり、逆に欲望を否定して貧困主義者を肯定し、一汁一菜の生活を是とするのも行き過ぎた執着だ。少子高齢化の時代にあった構造改革が行われることと同時に自己改革が緊急な課題である。
また事業においては、まさに教育基本法のような人材育成を「知・徳・体」を磨き上げた方針を貫いてほしい。
1980年代の技術立国から40年近く、デフレマインドで情報化社会にも後れを取ってきたが、今こそ西洋的な相対的な価値から脱却し、東洋的な『和』の精神で
独立自尊の哲学観を持った自律した人材を日本国中、いや世界中に排出することが現代的な日本のグローバル化、IT化の時代を切り開く唯一のビジョンであると察する。
みなさんは日本の人材育成は世界に発信できると思いませんか?