「六祖慧能の話」

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達磨から数えて六代目が慧能大観だ。
広東省に生まれた慧能は母一人子一人で、薪を売ってつましい暮らしをしていた。
ある時に金剛経を聞いて感銘をうけ僧に尋ねたら、「弘忍禅師に訊け」と言われ、湖北省の弘忍を訪ねた。(達磨大師から五代目に当たる高僧であった。)
五祖弘忍がある日、後継ぎを決めるから、悟りの心境を詩で書くように言った。

後継者と目されていた優秀な神秀は、
「身は是れ菩提の樹
心は明鏡の台のごとし
時々に勤めて払拭せよ
塵埃を惹かしむる事莫れ」

意味=私たちの身体は悟り(菩提)を宿す木であり、心はけがれない鏡のようなものだ。煩悩という塵がつくと曇るから、修行によって常に拭いてやらねばならない。

ところが米つきで下働きしていた慧能は、
「菩提本樹なし
明鏡また台にあらず
本来無一物
何れの処にか塵埃を惹かん」

意味=悟りの境地には、もともとそれが宿る気も、それを写す鏡もない。だから塵などどこにもつくことがない。

弘忍は感心して、慧能に衣鉢(袈裟と鉄鉢)を渡した。(法を伝えた証)
「向こうの山に行って開山せよ」といった。

弟子たちが何か不穏な動きを感じ、慧能を追いかけて行った。
中でも足の速い明(みょう)は弘忍の衣鉢をとろうとした。

慧能は「持って行きたければ持って行けばいい。尊いのは法であり衣鉢ではない」
「力をもって争うべきでない」と言い放った。そこで明はハッと気づく。
「追いかけてきたのは衣鉢の為ならず、法を求むる為ならん」

慧能は「善も悪も思わないでいるとき、そなたの心は何処にありや」と訊いた。
これ訊いて明は言下に悟り、「今お示しいただき、人が水を飲んで、冷暖を自知するごとき」と述べた。

いま世界は軍備を強化し力で屈服させる様相になっている。一時的には成功するかもしれないが、ほかの知恵がないものか考える時でもある。
恩師小田切はこの慧能の話の中の「人間本来無一物」の話を何度も話された。

第二次世界大戦に巻き込まれソビエト抑留の途中で逃げて帰りハルピンで過ごされ、昭和28年の抑留船で舞鶴港につかれた。
戦争のない世界を実現してほしい。それには一人一人が自ら冷暖自知に学ぶことだと問いかけられる。
冷暖自知を自覚し善行に励んでこそ平和が訪れるという声は聞こえてくる思いだ。

皆さんは人間本来無一物いかが思われますか?

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