先日90歳で亡くなられた稲盛和夫さんは経営の達人だ。
「心を高め経営を伸ばそう」が合言葉で、私も20年近く盛和塾で学んできた。
ところが具体的に自分の事業に置き換えると、「心」って目に見えないので、どのように育て磨くのかと自問自答してきたのが事実だ。
稲盛さんは「人の心を頼りにする以外ない」と断言され、
心の多重構造については次のように説明して下さった。
1.一番外側にあるのが知性
2.二番目の内側が感性
3.三番目が本能
4.四番目が魂
5.五番目が真我
魂は身心の統一状態を言うのであり、この魂を磨くのは自分なんだ。
身体については運動して筋肉強化し、食事をバランス良く、睡眠をして、健康な体づくりするが、一方で心は真我に到達するところまで磨き上げなければ本質が見えない。
「心こそ心惑わす心なり 心に心許すまじき」という言葉もあり、善でも悪にもなるのが心だ。
松下幸之助は「心を開けば宇宙大にまで広がり、心を閉ざせば自殺にまで追い込んでしまう」と表現し、中江藤樹は「心は諸刃の剣であるのだ。心は自然界と同じで、放っておくと雑草が生える。その雑草を抜き取り、心を宇宙大にまで開いていく。そのための学びが人間学である」、また「学問には品あまたありと言えども、心を修る学問のみ正真の学問なり。この正真の学問は天下大一等の事にして人間の第一義なり」と言った。
人間として誕生し「心」と「身体」という道具は頂いたが、取扱説明書がなく、どうしていいか分からないのが本音だ。
では、どうコントロールするかだが、方向性を明確にし、何を通じて磨くかということが大事だ。
身体はスポーツなどで磨くことが出来るが、心は仕事を通じて磨くことが手っ取り早いのである。
1.仕事に大義名分があり、志を高めていくこと。
2.宇宙の意志と調和するように自分の意志を磨くこと。
3.動機が善で私心がない行動ができること。
4.誰にも負けない努力をすること。
この条件を満たすと心は成長路線に入り志が実現されるが、根本的に大事なのは体の内から湧いてくる「燃えるような熱意」と「やる気」だ。すなわち、気力・気魄である。
そこに不撓不屈のぶれない意志があれば、仕事・人生は発展進化すること間違いなしだ。
自分の心と身体は自分で創造するのだ。
そして、人格創造と経済の発展は同時にやることだ。
人格創造と経済発展は、渋沢栄一の言う「論語と算盤」のように同時なんだ。
二宮尊徳の「道徳なき経済は罪悪 経済なき道徳はたわごと」とも同じ意味だ。
最後に一番大事なことは、起こってくる現象に自分でスイッチを入れたり切ったり、「自断自開」をすることだ。
止まらないと身体も心も分裂したりうつ状態になるからだ。
健康で若く仕事が解ってきた40代には一日48時間欲しいと思うぐらい走りっぱなしの時があったが、鬱的な倦怠感に襲われた時、行動を止めること、心を無にすることが非常に大事だと気付いた。
みなさんは自ら発展するために心どう磨いてますか?