ある世論調査によると「何のために仕事をするのか?」という質問の回答結果で1番多かったのは「生活するためにお金を稼ぐため」で51.0%、2番目は「生きがいを見つけるため」が21.3%、3番目は「社会の一員として務めを果たすため」で14.7%、4番目は「自分の才能や能力を発揮するため8.8%」だった。
「お金を稼ぐため」という具体的な理由はもちろんだが、他の理由で仕事に従事する人も約半分ぐらいはいるみたいだ。
では、「仕事をするには何に学ぶ?」と考えて、言志四録(佐藤一斎)を読んだ。
「太上は天を師とし、其の次は人を師とし、其の次は経を師とす。」
意味は「最上の人物は天(宇宙の真理)を師とし、第二級の人物は聖人や賢人を師とし、第三級の人物は聖賢の書を師として学ぶ。」である。
西郷隆盛の「敬天愛人」はまさに最上の人物であり、稲盛和夫さんもこの言葉を座右の銘にしておられた。
稲盛さんの事業観は言志四録に書かれている言葉からきている。
「凡そ事を作すには、須く天に使うるの心あるを要すべし、人に示すの念有るを要せず。」
意味は「すべての事業を行うには、必ず天の意志に従う心を持つべきである。他人に誇示する気持ちが有ってはいけない。」である。
この事業観は、天を尊敬して、人を相手にせず、天を相手に生きることだという。言い換えると、捨て身の構えで天を相手に生きるということだ。
西郷隆盛さんの逸話に、明治政府で参議をしていた給料を箪笥の上に置いていて、部下がお金のこと言ってきたら、「そこの箪笥の上にあるから必要なだけ持っていけ」と言ったという話がある。
時代背景が違い、政府の閣僚の立場にあったにしても、如何に日本の未来を見据えて天を相手にして仕事しているか自問自答せざるを得ない。
みなさんは何のために仕事をされていますか?