たった一回の授業
九州だったと思う。有名でもない高校を卒業し社会人になる。
自己責任を果たしきる人財を作るという決意で着任した校長の話を聞いた。
今でもこの高校は志願者が多い。
それは卒業後、生徒だった子達は一生懸命働き、
世の中で役に立つ立派な人財になるからだ。
たった一回の授業は『卒業式』当日だ。
卒業式には必ず両親のどちらでもいいが参列することにしてもらう。
卒業式が終わると生徒は自分が学んだ教室に入る。
親は生徒のイスに座って生徒は床に座る。
校長先生の授業が始まる。
『君たちは親に守られて生きてきた。
今日から自立の一歩が始まる。
君たちは親が愛し守り続けてくれた、
「ありがとう」と言えなくてもいいから、
手をそっと親に添えて「反抗してごめん」
〔恥ずかしくて指一本の生徒もいる。声もでない〕』
『久しぶりの両親の手を触って昔のようにつるつるして無いだろう。
ぼろぼろになったのは君たちを守ってくれたからだ。』
『両親の苦労わかってやれ!』
『もう一度手を握れ!』
(生徒はみんなグーッと手を固く握り締める。目から涙がぼろぼろ落ちる)
『自立とは守られる存在から、守る存在になる。
与えられる存在から与える存在になること!』
『それが自立だ!!』
たった一回の授業で生徒は親に恩返しの気持ちで一生懸命働き立派な社会人となる。
人間としての奥深くにある役に立って喜びたい。
両親を喜ばしたい気持ちに火がつくのだ。
誰だって深いところで両親に感謝してる。
いつまでも甘えていられないこともわかってる。
きっかけがいるんだ。
みなさんは卒業式に自立誓いましたか?