大阪石材社長ブログ

「夢・志」はどう創る

投稿日:2023年4月17日 更新日:

「夢」って考えたら、まずは自分の具体的な能力を目標にするのが普通だ。

私の人生を振り返ってみると、小学校は目の前の興味のあることに夢中になって、それと父の仕事を手伝って、午後4時ごろに学校から帰ったら卵を取りに行き、朝7時に起きて豆腐屋に豆腐を買いに行った。
小学6年生から新聞配達を朝晩やったが、学校の先生に叱られ辞めさせられた。中学に入って、何周年だか忘れたが記念式典に演劇があり「イワンの馬鹿」の兄貴役をやったり、「杜子春」にも出演したが主役ではなかった。
中学の学びの場では3年間友人と生徒会の副会長をし、高校2年生の時にも体育大会のリーダーをやり、弁論大会も出た。
先生が「君は人気があるからやれ」と言ってきたので、3年の受験勉強を控えていたが、また生徒会をやることになって、大学受験は失敗して浪人となった。

私は自分でこうしたいと思ったことは一度もなく、「みんなが喜んだらいいな」と漠然と思ってやっていた。そのことで母からは「お人好しではだめだ、馬鹿正直は馬鹿のうち」とよく言われたのを今でも覚えている。
自分が育てておいて、息子に何てこと言うのかと逆恨みをしていたように思う。

友人はみんな目標の大学を決めていたり、社会人になったら公務員になるとか進路を決めていた。私は社会のことも全く知らないし、何をやればいいか分からないので決められなかった。
別にこれが好きだから夢中になるというものもない平凡な普通の学生だったと思う。言い換えると、両親の元で生活はできるし、早く家を出て行って結婚したいというより、色んなことして遊びたい方が先だったように思う。

しかし、社会人になって2度目の会社で偶然に小田切先生と出会っていろいろ学ぶ内に、「世の中を変えるぐらい大きなことやりたい」と考えるようになった。そんな中、27歳の時に先生に愛媛県の大島石を全国に普及しようという若者を紹介してもらった。その話に胸躍らせて「やりましょう」と話に乗ることにした。
最初の半年は1億程の仕事の依頼があって、そこで技術的なことも学んだ。その仕事が終わって、紹介者に次の仕事を聞くと、独立して自分で売りなさいと言われた。墓石は愛媛から送ってやる、応援するからと言うのである。
実際にそこまで考えていなかったので、びっくりしたが自分でやらざるを得なくなった。創業時は失敗の繰り返しだったが、ここではその話は割愛する。

自分で店を構え、自分が責任者として3人でスタートすることになった。1人は結婚もして子供もいたから生活があるので無責任なことはできないと思った。一度失敗した時に「止めよう」と言ったら、その家族のいる仲間が「ちゃんと続けると言ったやないか」と言い出した。
「そうや!」と、自分のことばかり考えて生きてきたちっぽけな自分が嫌になった。
それからは一緒に働く人には責任がない。だから、どうにかして会社を維持し、発展させねばならないと考えるようになった。
全く世の中の流れを知らないで、漠然とした「全国への石材振興」という夢だけでスタートした浅はかな自分に気が付いた。
これでは駄目だと石材業界のマーケットサイズを調べたが、どこにも纏まった本がなく、自分で政府の統計を調べ推論を立てることにした。
その頃は、世の中が戦後の復興から立ち上がり、経済も勢いを増して成長していて、お墓の需要が潜在的に育っていた。大変ラッキーだったように感じる。今は少子高齢化で「墓じまい」が増えている時代に変化している。

そこで、自分が良ければいいという夢でなく、業界全体が成長発展しなければ我が社も発展しない。同時に、社員が物心両面の幸福を感じ生きがいを持って働くことができるいい会社にしなければ志が共有できないと考えた。
会社の理念を創ることにしたのは創業から十数年経った頃だ。
最初は「幸福追求カンパニー」と自己本位で外に幸福取りに行く利己心発想をしていたが、そうではなく、幸福とは自分の心の中にあり、自らが行動によって「創造」することだと利他的な発想をして、「幸福創造カンパニー」という理念にして、物心両面の幸福を自らの手で創造し、弊社に関わるお客さんをはじめ、仕事手伝って下さる人すべてに幸福創造を実現するべく、「三方よし」の判断基準で行動するという理念に行き着いた。
人を憎むのにも限りがないように人を幸福にするのにも限りはありません。自分から他人、家族、会社、業界、社会、世界、自然へと限りなく志を高め、物心両面の幸福創造を限りなく発展させていく覚悟で邁進することにした。
利己的発想から利他的発想に切り替えることで、「謙虚さ」と「感謝の心」を磨く結果となり、全ての行動は自己責任という覚悟から出発している。

仏教語で言えばまさに「自利利他」なんですね。「利他することが自利になる」という教えをしみじみと体験の中で教えられたように思う次第だ。

みなさんの夢・志は利己的か利他的どちらでしょうか?

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