「成人の心は万物一体の仁」
これは王陽明の言葉だ。
自分を含む万物は繋がっていて、一体であるから、他人の痛みは自分の痛みで、それを治そうとするのは自然なことで、それは良知(人間がもともと備わっている善なる本生。聖なる性質)から発するものだ。
社会に当てはめると社会救済、社会改革の考えとなる。
江戸時代の代表的な陽明学の人物は中江藤樹、熊沢蕃山(くまざわ ばんざん)、三輪執斎(みわ しっさい)などである。
幕末の志士たちは江戸幕府を倒し明治を築き上げる。
現代の陽明学の代表的な人物は、本人は違うとおっしゃったようだが、安岡正篤(やすおか まさひろ)さんと言われる。
王陽明の「四句訣」(四言教)を紹介する。
「善なく悪なきは是心の体
善あり悪ありは心の動
善を知り悪を知るは是良知
善を成し悪を去るは是格物」
これは陽明学の根幹の「良知」である。
この言葉は知っているが、自分の人生を振り返ってみると、他人事のように分かったつもりになっていただけで、自分を外の世界に求めていた。
こうありたいという目標もなく、漠然と出会ったものを体験していたら、自分の人格も能力も自然と身につくという受け身な考え方をしていたように思う。
現実の社会の中でしっかり善悪を自ら意識して、判断、決断してきたかというと曖昧だ。いや、そんな生死を分かつような重要な出来事にぶつかり生きてきたのかも曖昧な気がする。
「思い立ったが吉日」という言葉があるように、今からでも遅くない。何事にも腰を入れて心込めて体当たりで体験を積み、「四句訣」を弁える人物になることを目指す。
全ての行動は自己責任であり、自分が自分の主人公として歩んだと考えたい。
みなさんは自分の人生は自分が作ってきたと言い切れますか?