人間の発展、進化には5段階ある。
1.自然から生まれたので、あらゆる能力が内在していて可能性を秘めていること信じる。(努力する自分を肯定、自分よし)
2.何かを好きになり、高みを目指して一生懸命夢中に努力する。(自分の内なる能力・人格の質を高める・精進する)
3.その中で相手が喜ぶものを見付けて人間関係をつくる。(人間の輪を広げる相手よし)
4.その中から続けられることを見付け、継続して実行する。(変化を見る時流に流されず、時中を心得る)
5.その場所に貢献する。村、町、県、国、世界というように交易を通じて市場に恩返しする。(世間よし)
私どもの会社の理念は近江商人の「三方良し」だ。
近江商人の産みの親は織田信長で、城下町を整備し楽市楽座を築き、従来から神社が仕切っていた市を自由にさせた。
努力は根本的には「自分よし」で、「努力は人の為ならず」である。
だが発展、進化させようとしたら必ず交易を増やさねばなりません。
それには「相手よし」を作り出す必要がある。
例えば、どこにもないものを探してくること、ありふれた商品でもいち早く届けること、あるいはその時代の最高品質のモノを提供すること、また一度にたくさんいる場合は量を集めることも「相手よし」である。
当時は村社会的な事情もあり、よそ者扱いされたであろう行商人は、そこの村人と仲良くなるために、神社や寺に寄進して貢献した。これは安定した市場を形成することに通じる。「世間よし」だ。
代表的な商人、中井源左衛門(1716~1805年)は売薬から身を起こし、米商人として巨富を得て、瀬田の唐橋の改修工事に3000両を献金したという。
90才の時に子孫に書き残したのは「金持商人一枚起請文」という家訓だ。
それには「金持ちになるのに運のあるないというのは間違い。金持ちになりたいと思えば酒、遊興、贅沢などを止めて、長寿を心がけ、質素倹約を第一に商売に励む以外はない。それ以上の欲をかいては失敗する。質素倹約とケチは違う。質素倹約を続けていれば金持ちになること間違いない。しかし国を代表するような長者になるには一代では難しく、二代、三代と続けなければならない。そのためには人に隠れた良いことをすること、良い行いをすること以外ない。子孫の奢りを防ぐために、私の思うこと書き記す。」というようなことが書かれている。
私はよく「一生懸命」と口にするが、中井源左衛門のように懸命になるものを見付け心に刻んでいるか自問自答した。事業を始めて少なくとも48年程になるが、これが天職と言い聞かせて続けられたのは先祖の因縁かもしれないし、仕事を通じて自分の中の能力や人格を磨くのは自分だと気づいたことも確かだ。
「三方良し」を企業理念として、今後も懸命に「今」を生きてこそ、具体的な幸福が創造されると確信する。
みなさんは発展進化する努力に自己犠牲感じてますか?