何百人という部下をやめさせてしまった自分の理由を「部下が悪いと部下のせいにして自分は間違ってない」「ただ厳しく育てているだけ」と自己正当化している間は人は育たない。
自己正当化で言うと、立ち向かってくる反骨精神が自立の第一条件だと考えているからである。
70才を超えて理解できたのは、部下育成には2つの条件を満たす必要があるということだ。
1.やる気にスイッチが入る。部下がやってみたいと思う。
それには上司が心から楽しく仕事している姿を見せること。部下の前で上司のその上の上司の愚痴を言っているようでは失格だ。
上司の三つのタイプ
A.優しく何でも教えてくれ、話を聞いてくれる部下に目線を合わせてくれる上司で、やり方まで丁寧に教えてくれる。お母さんのように失敗しても怒らず、味方してくれる、責任を問うたりもしない上司。
B.逆に、正反対に部下を敵のように攻めガミガミ怒鳴り、完膚なきまでに攻め、さらに残忍なのは部下を育てた両親が悪いと罵倒する。部下は揚げ足をとられないように緊張する。そして反撃に出てくる。親の名を出し、家を馬鹿にしたと発奮する。この反骨精神、「憎しみのやる気」だが愛情がないので人間不信になる。多分部下同士が飲みに行ったら、「あの上司、殺してやりたいな」と言われる上司。
C.優しくもなく、厳しくもなく非常に現実的に目標達成の具体性しか話さない。現実的数字で追い込んでいく上司で非情な仕事人間上司。時々ガス抜きと言って飲みに連れて行ってくれるが、人間としての関りや考え方や具体的な方法・手段は個々人違うと思い込んでいるので教えない上司。
上記のどの上司も部下育成には成功しない。部下の心を掴んでいないからだ。
自分が心から仕事のプロセスを楽しみ、人間関係構築や仕事の具体的知識を学ぶことを喜びとする姿を見せる。
普通の人間は何があっても100%楽しく仕事することは出来ないに決まっている。
ここで重要なのは、「やる気」のスイッチと同時に「仕事に向き合う姿勢」を伝授しなければ、マネージメントの両輪が動かない。
言い換えると、人間とはどんな生き物で、どんなモノの見方をすれば課題を解決して楽しく仕事が出来るかを紐解く人間学を伝授する。
2.仕事に向き合う心構え
A.仕事・人生の成果=考え方×熱意×能力
知恵=知識×熱意+経験(松下幸之助)
この注釈は日頃稲盛哲学を学んでいるのでここでは詳しく書かない。
B.意識力=人間の能力の差は5倍、意識の差は100倍(永守重信)
C.最大の敵は言い訳をしようとしている自分自身=愚痴や不平や不満や言い訳が出てくる時点で勝負に負けている。(環境や、他人のせいにしない)
D.人間は不完全な存在であることを自覚する(自分の間違いを許す、怠けるのではなく行動した結果は仕方ない)(芳村思風)
E.絶対積極意識でいつも明るく朗らかに=積極、消極という二元論でなく、絶対積極意識で行動する。
F.現実絶対肯定意識=現実の具体的事実を100%受け入れて課題を見つける。
自分にとって良いことも良くないことも全て受け入れ、そこから正しいことを考えるのでなく現実と未来のギャップ・課題を明確にする。
そうすると自ずと答えは出てくる。自分に完璧を求めすぎると自己嫌悪に陥り、他者攻撃性が強くなる。自分と同じようになることを強要する。
総合的には、部下育成の根本は自分を超える人間となってほしいと愛情を持って施して、「やる気」と「仕事に向き合う心構え」をしっかり伝授することだ。
勿論仕事の技能としてのスキルはいるが、仕事に向き合う心構えが伝えられたら、自分を乗り越えられるし、人類はさらに進歩・発展する。
皆さんは人間マネージメントのコツいかが考えていますか?
「人間マネージメントのコツ」
投稿日:2021年2月28日 更新日: