「仕事とは万病に効く薬」と表現されるのは稲盛和夫さんだ。
それは、人間の肉体的な満足感・達成感と同時に精神的な充実感の両方の生きがいが実現される手段だからだ。
仕事には「目標」と「目的」がある。
「目標」とは現実の具体的に実現したい達成したいことであり、目に見える長さやタイムのようなものだ。
例えば陸上走者なら100メートルが走れたら200メートルに目標を置いて、毎日走るために筋肉強化や、食事に気を付けたり、睡眠時間を充分に取り、疲れを残さないようにする。(原因)
さらに、走法を自分に合ったものにして、自分の肉体を最大限生かす練習を重ね、もちろんタイムも縮める。そこで、具体的な大会に出て結果を残す。
今年の東京オリンピックで日本の選手が世界中の選手と競い合い、金メダルを獲ることが出来れば最高だ。(結果)
もう一方の「目的」は現実的なことより生きがい、精神的充実感を得て命が輝くことだ。
自分の人生を豊かにするため、社会をよりよく素晴らしいものにするために仕事をする。
このような目的を持つとイキイキと仕事ができるのである。
私が学生時代に陸上部だったので、具体的な例を走る「目標」の長さ・タイムで表現し、世界最大の大会オリンピックにした。
仕事は手段であると言ったのは、例えの走者が走ることで自分の人生が豊かにも社会の為にもならず苦行になるのは、手段が目的化するからなんですね。
オリンピック代表になった走者はあくまでも夢に向かってまっしぐらに伸びていく希望の道でなければならないが、大会に出て一番になること、賞金を稼ぐこと、名誉をもらうことを目指すようになっていくと手段が目的化するのである。
先日、テレビで大坂なおみ選手が全仏のテニス大会でインタビューは受けないと宣言し、その言葉通り試合後会見場に姿を現さなかったというニュースを目にした。
3年間うつ状態で苦しんでいて「インタビューアーのくだらない質問には答えられない。」と告白したが罰金165万円支払わされたという。
彼女は大会で優勝することを心から喜んでいたし、名誉も地位もお金も手に入れたことは事実だ。
しかし、私たち視聴者(観客)は彼女が勝つことしか受け入れないように精神的に追い詰めていないだろうか?
勿論、それにも打ち勝つ精神力を持っているのが本当のプロだというのであろう。
関係者ももっと稼ぐことを喜んで、彼女を追い込んでいなかっただろうか?
もう一度言うが「仕事は手段に過ぎない」、目的は人生を豊かに社会をより良くすることだ。
思いや信念を高めて浄化し、明るく陽気で積極意識の心を養い、イキイキ生きるのが目的なんだ。
まさに「健体康心」を実現するのが仕事という手段だ。
だから一生懸命仕事をして楽しくなるように自分をコントロールすることが重要で、目的が一番、
目標は二番であるからこそ稲盛さんの言う「仕事は万病に効く薬」となるのである。
仕事をする目標を目的にしては、決して薬にならないのである。
言い換えると「能力」と「人格」に置き換えることもできる。
一番大事なのは人格の「徳」を養うことで、その上での能力の「才」であると言える。
ところが、目的の人生の豊さ、社会を良くするといったことは目に見えない。人格の徳も同じだ。
私たち凡人は目に見えるモノに支配されてしまって本質が見えない愚かさを持っていることを自覚しなければならない。
皆さんは目に見えない本質大切にされていますか?