ご自愛ください

投稿日:2016年5月17日 更新日:

手紙やハガキの最後に、「ご自愛ください」と言う言葉を書く。
ところが、どう自愛するか方法を知らないのが現代人だ。

江戸時代に神経衰弱、現代なら「うつ病」になったのが臨済禅の中興の祖といわれる白隠禅師だ。
当時の言葉では「心火逆上」といって、禅の公案を一生懸命、根つめて考えすぎた結果の精神の病だ。

白隠禅師は京都の白幽さんを尋ねて処方を聞いたら、
陰陽五行による生命観を説き聞かされた。
肺の「火」を丹田におろし、腎の「水」を上に上げて交わらす、
交こそが「生」の象(かたち)だと教えられる。

要するに、身体の下半身が温かく、上半身が涼しいのが理想と言うわけだ。
漢方では「上虚下実」に整えることだ体調に最も良いとされる。

これを実現するのに自分の意識をコントロールする方法が二つある。
ひとつは「内観法」でもうひとつは「軟酥(なんそ)の法」である。

「内観法」は現代では自律訓練法として自己暗示かける方法である。
「気海丹田、腰脚足心」に意識を自分で持っていくのである。
現代風に言えば「手先足先が暖かくなる」と自分の意識を手先足先にあるように自己暗示かける。
5回ほど繰り返すのである。
緊張感がほぐれ気が上半身から手先足先に行くように感じる。
足心は土踏まずのことで気血が運ばれ、暖かくなってくる身心調整法だ。

さてもうひとつは「軟酥(なんそ)の法」これは映像的イメージを持つ内観法といえる方法だ。
「軟酥」はバターのようなものを意味する。
バターが嫌いな人はイメージできないからジャムでもかまいません。
とにかく頭の上にバターの塊があって、それがジワーッと溶け出し、
下へ下へとtけだし体中に巻きつく漢字をイメージする。
もし肩が痛いとすると、そのバターがジワーッと肩を包みだした瞬間に、
今までの痛みが消えるということだ。
もちろん体の中の肺や肝臓、胃、腸にも染みとおっていくことになる。
喜びに満ちてきて、単に痛みだけでなく、いままでの悪念が足先から流れ出すのである。

この二つを使いこなせるまでにはかなり修練する必要がいる。
兎にも角にも。これが自愛の方法だ。
(たぶん江戸時代は自愛の方法を心得ていたに違いない。)

白隠禅師は自愛を心得実践して、後世になを残す傑物の禅僧になり方法を伝授したのである。

皆さんはご自愛の方法、如何にされていますか?

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