ジョブズは大学中退、インドを放浪して、
サンフランシスコ禅センターで生涯の師と出会うのである。
曹洞宗の乙川弘文師だ。
1991年ローレン夫人と仏前結婚式も乙川さん立会いのもとで行なった。
1985年ジョン・スカリーにアップルを追い出されたときには精神的なささえとなり、
1986年にネクストを立ち上げたときには宗教顧問としてジョブズを支えた人物だ。
若きジョブスは『禅』を利己的に考え自分は最高だととらえていたが、
アップルを追い出され裸になった時、
道元の言う『他の中の己』を意識したと言う。
他の存在として現われた己の自覚だ。
その心境はさらに深まり、正法眼蔵の現成公案の巻、
『法もし身心に充足すれば、ひとかたは足らずとおぼゆるなり』
意味=仏法が身体に溢れていたら、目先の目標に到達してもそれでは満足しない。
どこか足りないと感じる。
ジョブズの禅的な考えを一番に表してるのは2005年50歳のとき、
スタンフォード大学の卒業式でのスピーチにある。
『STAY HUNGRY、STAY FOOLISH]』
意味=貧しくあれ、愚かであれ
ジョブズは愚直に誰にも負けない努力をし、上を目指し燃えつくした人生だった。
私たちは食べ物や衣服、住まいがなければ生きれない。
しかし、モノだけを追い求めることで人生を生きるのか?
自分を磨くために生きるかはそれぞれの思いが決める。
恩師小田切瑞穂先生はいつも私に言われていた。
『衣食のなかに道心なし、道心の中に衣食あり』
みなさんはジョブズと禅の関わりどう感じますか?