「ありがとう」が言えない社会

投稿日:2013年9月24日 更新日:

墓石をお世話して40年近くになるが、
最近「子供に迷惑かけたくない」という考えと、
子供たちが自宅周辺に暮らしてるとは限らないという生活環境の変化から、
先祖を供養したり、亡くなった方を手厚く祀る習慣が壊れてる。

この現象は学校の学級崩壊と通じると思うのは私だけだろうか?

戦前までは、村の鎮守の森に神社があって、みんな氏子となるのが普通だった。
また必ず、寺があって、みんなが集まり心の学びをして、
子供たちはおじいちゃんおばあちゃんから和尚の話しを聞かされた。

江戸時代から自然と仏教的や儒教的な道徳観が醸成され、
さらに明治には和魂洋才として諸外国から学び文明開化し、
大いに技術も発展させ、近代国家を形成してきた。

第二次世界大戦後大きく変化したのは二つある。
1.人間として互いを敬い生きていく共通の道徳観が否定された。
2.物質的豊かさを追求し「人の世話にならないで生きていける社会」つくりに邁進しすぎた。

器用で努力家の日本人は一生懸命働いて、
世界に誇れるモノの豊かな国を作り、
他人に迷惑かけない社会を作った。
「他人に迷惑をかけるな」が母の口癖だった。

意味=社会人として独立自尊の気概で生きる立派な大人を目指すことをさすのであって、
   他人と関わるのを拒否することではない。

ところが、世の中が自動ドアや携帯電話といった便利な道具ができればできるほど、
他人を必要としなくなり、人間関係の煩わしさから開放される。
逆にいうと、集団生活ができない自己中な考えと行動しかできなくなり、
人間関係の緩急がわからない人たちが増えたのである。
「ありがとう」を言わなくても生きれる社会になったのだ。

少し踏み込んで「言葉」に対する宗教観が洋の東西で違う。
東洋的な仏教や神道では一度言葉にしたことは、そうなると信じられ口に出さない。
仏教では「経外別伝 不立文字」といい、神道では「言挙(あ)げせざるの教え」と御経のような本がない。

西洋的にはキリスト教の聖書は「初めにLOGOS(言葉)ありき」といわれ、
イスラム教も「クルーン(コーラン)」という神の啓示の言葉を絶対視する。

だから「しあわせ」感が違うのである。
日本のしあわせは「仕合せ」といって、人と人との関係が上手く行くこと。(室町時代)
ところが西洋のしあわせは言葉が大事だから、LOGIC(ロジック論理)の因果律で考える幸せなのである。
言い換えると科学的な方法なのだ。あらかじめ確実な近未来というものを想定し、
予定どおり行ったかどうかが焦点になり、予定外のこと以外受け止めない。
だから日本人的な「しあわせ」は起こりにくい。
(最近では「想定内です」と答えたネットバブルで懲役刑で刑務所にいたホリエモンがこの科学的考えの人だろう。)

日本人のしあわせ感は、予定どおりに物事が進んでるときではない。
思ってもみないことが起こり、その中で自分が揺らぎながら、
何とかバランスを保ち楽しんでる状況が「しあわせ」なのだ。

西洋の外面的な因果律でなく、日本は内面の揺らぎを感じる幸せをいう。

だから、思いもよらないことを起こしてビックリさせられるのは幸せをつくってるのだが、
西洋人ならその洒落がわからず想定外と怒り出すかもしれない。

最近の日本の教育は科学的な因果律が優先される。
そんな現代人には「ありがとう」が言えないし、
「ありがとう」を言うタイミングを表現し演出する人も少ない。
因果、因果、因果でロジックなことを信じ込む傾向がある。

現代は競争社会だと声高に言われる市長がいるが、
競争相手は外にいる「あなた」でも「同業者や異業種」でもありません。
自分の中にある「怠け心や欲張り、無知で愚かで弱い心」の自分と競争するという、
謙虚に自分をつくる発想をするのが奥ゆかしい人間形成だ。
(古臭いとおもわれる方もいる)

互いが奪い合い競争するのでなく、
与え合い相互に依存せず、支えあう日本人らしいしあわせ感を味わいたい。
「ありがとう」が言える社会を自ら夢見て創っていく。

みなさんはいかが思いますか今の社会?

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