1.『本然の真己有り 躯殻の仮己有り。
須らく自ら認め得んことを要すべし。』
意味=人間は大宇宙から与えられている道義に基づいて生きる本当の自分があり、
一方で私欲を持つ身体の仮の自己があるが、
このように二つの面があることを自ら認めて、
独りを謹んでいかなければならない。
2.『真の己を以って仮の己に克つは、天理なり。
身の我を以って心の我れを害するは、人欲なり。』
意味=自分には真の自分と仮の自分があって、
真の自分〔道を求める〕をもって仮の自分〔欲望に動かされる〕に克つのは天理であるが、
これに反して、仮の自分をもって真の自分を傷つけるのは、人間の欲望によるものである。
この二つは西郷隆盛が手抄言志録にあげてる一斉の言志録中の言葉である。
当時の武士に求められたのは真の自己に目覚め、
国を治める人間は欲望に負ける自己を恥とすることだった。
この人間道、人間学を幼少から古典の四書五経を素読し学んでいたのである。
現代の教育には自分を自分で磨く人間学が決定的に欠落しているのはなぜか?
戦後生まれの我々は民主主義、個人主義といわれ、
個人のことしか考えないようになってしまっていないだろうか?
消費は美徳と物を豊かにし使い捨てることを良しとし、
『もったいない』という心を忘れていないだろうか?
知識も自己を守る理論武装であり利己心の知恵よりも、
自然も人間も生かし、他者を思いやる利他行(心)の知恵が求められる。
今こそ、道義を重んじた人間力を必要とする時代がやってきている。
偉そうなこと書いて、『君はできてるか?』と問われたら、
恥ずかしいが、『できてない、気づいた。』と答えるしかない。
論語に確か『過ちを改むるに憚ることなかれ』と言うような文が書かれていた。〔お許しを〕
今、世界は武力で平和を勝ち取ろうと考え軍備を増強するか、
カネによって支配して拝金主義を是認する考えが横行してる。
私はこの二つの方法では平和はこないと察する。
各国が道義に学び真の自己に出会う人間力を高めることにより、
互いの人間を尊敬しあう関係を作り世界平和を実現することだと感じてる。
皆さんは幕末から明治を生きた西郷さんの学びと生き様いかが感じますか?