「善良な人間」に思う

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慈恵医大の精神科の森田先生が語られたというレポートに書かれていたので紹介する。

宇宙の現象はすべて発動力と抑止力とが常に平行状態にある時にのみ、
調和が保たれている。
天体にも、物質にも引力と斤力とがあって、その構造が保たれ、
心臓や消化器にも、興奮神経と制止神経とが相対峙し、
筋肉には拮抗筋の相対力が作用して、
はじめてそこに適切な行動が行われている。

精神現象も決して法則を離れない。
以下のことを精神拮抗作用とよんでいる。
欲望の衝動に対しては、常にこれに対する恐戒、悪怖という抑制作用が相対している
欲望の衝動ばかりが強くて、抑制の力が乏しければ、無恥・悪徳者・ならず者となり、
欲望が乏しく抑制ばかりが強ければ、無為無能・酔生夢死の人間として終わる。

この衝動と抑制とがよく調和を保つときにその人は善良な人間であり、
さらにその衝動が強烈で、その抑制の剛健な人はますます大きな人間を創るのである。

人間の行動様式は単独で生まれるものでなく、
自然や他者との相互関係の中ではぐくまれるものだと結論付ける。

ここで思い起こすのは「鐘が鳴るか撞木が鳴るか、鐘と撞木の間で鳴る」を、
森田先生は「撞木当たれば鐘が鳴る」と説かれ、
我が恩師小田切は「鐘と撞木で音がする」と如実知見を表現された。
普通に説かれえるには「間で」を不即不離の関係、
絶対矛盾の自己同一(西田幾多郎)と説かれる。
言い換えると中庸を目指すということだ。

善良な人間として大きくなるには自分の欲望という衝動を超えた、
利他的な欲望という衝動がさらなる善良な人間形成を促進することは確かだ。
「世のため人のため」というのは建前でなく、心の奥から湧き出た本心ならば、
必ず自分に対する抑制が働くことは間違いなく、大きな人間となる。
抑止力とは欲望にブレーキをかけることでなく、自分の内なる世界を見つめ、
人間の心の弱さを自覚する謙虚な心の姿勢を作る事だ。

「善良な人間」に思う皆さんは善良な人間と心から感じていますか?

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