なんでも鑑定団

投稿日:2012年3月13日 更新日:

なんでも鑑定団
私のお気に入りの番組は『なんでも鑑定団』という番組だ。
日本の美意識と西洋の美意識は違うというのがはっきりわかる。

西洋の絵画で言えば二次元の平面に三次元をリアルに描く。
また一点透視図法などの技術を使い、合理的に遠近感や立体感を出そうとする。

ところが日本の絵画は違う。
明治以降は西洋の絵画に学びいろんな画風があるが、
江戸時代の尾形光琳の絵には、騙し絵的な手法で奥行きや立体感、開放感を感じさせる。
決して合理的に計算された手法ではない。
二次元の和紙に余白を必ずつくり、奥行きを感じさせる。
濃淡を巧みに扱い、細やかな表現をする。

当時の絵師は貴族や大名のお抱えの絵師で身分も価値も低かった。
ところが経済が発展し、江戸の商人たちがスポンサーになって、
絵師を育てるようになると作風が自由で解放的になる。
後には浮世絵としてさらにリアリティーを感じさせる庶民の絵になり、
フランスの印象派にも影響を与えた。

さて、この番組にでてくる骨董品についても日本と西洋では観点が違う。
西洋の骨董品=アンティークは歴史性を重要視し、美と感じる。
日本の骨董品=茶道の寂び(さび)からくる考え方で、時間経過の自然に古びたものを美と感じる。

茶道も絵画の発展と同じように現代の『市井の山居』と呼ばれるようになったのは、
16世紀の中ごろ織田信長が町衆茶人〔茶頭〕といって、
堺の今井宗久、津田宗及、千利休を取り立ててからだ。

元来お茶は810年ごろ30年唐の国にいた永忠によって嵯峨天皇はじめ宮廷貴族や僧侶に、
喫茶〔団茶法〕として、唐の珍しい風物として伝えられた。

その後栄西が宗の国から茶を持ち帰り、禅宗の精神的な境地を重ねることになる。
町人から生みでた四畳半の草庵茶になる〔身分関係なくみな一緒)前に完成されたのは、
15世紀の書院茶である。

日本の文化のこの『わび・さび』は外国では評価が高い。
茶道の精神は満たされない状態を認め慎み深く行動する。
『一期一会』を大切にお客に最善をもてなす。

ここには礼儀作法があり、「四規七則」
四規=和敬静寂〔仲良く敬いあい、心清く、どんな時も心動じない心境〕
七則=心込める、本質を見極める、季節感を大切にし、命を尊び、ゆとりもち、
    柔らかい心で互いを尊重しあう。
お茶の作法を通じ自分の心を躾け、最高の美意識を熟成する文化だ。
この番組は自国の文化の再発見であると同時に、自国の文化のすばらしさに感動する。

皆さんはこの番組、視られてますか?

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