祝辞を考える
年齢を重ねると結婚式には祝辞を頼まれることが多い。
日本の文化なのだろうが、人生の先輩を立ててくれる。
5月5日が誕生日という花嫁の野金君と、花婿は中嶋君の結婚だ。
二人とも大学を卒業し、新入社員として弊社に勤務してる、実にまじめな両人だ。
気の利いた祝辞と考えれば考えるほど思いつかない。
いつもは吉野弘さんが酒田市に住む姪御さんの結婚式に出られなく書いた「祝婚歌」という詩を朗読する。
この詩は吉野さんが若気の至りでぶつかり合いした結果書かれた、実にすばらしい味のある作品だが、
これから山あり谷ありの夫婦生活する二人にとって理想的過ぎるので、
今回は同じ詩集「風が吹く」の中の「生命は」という詩を贈ることにした。
「生命は」
生命は
自分自身だけでは完結できないように
つくられているらしい
花も
めしべとおしべが揃っているだけでは
不充分で
虫や風が訪れて
めしべとおしべを仲立ちする
生命はすべて
その中に欠如を抱き
それを他者から満たしてもらうのだ
私は今日
どこかの花のための
虻だったかもしれない
そして明日は
誰かが
私という花のための
虻であるかもしてない
今日ここに結婚した二人は、お互いが助け合い欠如を満たす夫婦となり、
またここに列席のみなさんが虫や風となり仲立ちし、花を実のらせる役目を担うことを念願します。
こんな祝辞をさせていただき、若人の集う楽しい雰囲気を楽しんでこようと思ってる次第だ。
みなさんの祝辞の引き出しにはどんなものがあるのでしょうか?