夜と昼があって一日がある。夏と冬があって一年がある。
男と女で子孫が増える。陰と陽で太極だ。
二宮尊徳さんは「一円融合」と言って「万物は一つの円の中にあって互いが働き合い一体となる」と考えた。
相対的区別をするのではなく、相補的に助け合うのが宇宙の法則で、それを天道という。
宇宙の原理原則に従えば、生成化育して栄えると自然を見抜いていたのである。
互いの持っている性質を生かし合うことが「道」だ。
相対から相補(統合)することで、易経的に言うと太極に積極的に向かう姿勢が天道で、太極に消極的に向かう姿勢が人道だ。人道は人為が入るので衰える。
食物は水、温度、土、養分、炭酸ガスで育つが、一方動物(人間)は水と温度(愛情)、土(環境・礼儀正しい)、養分(食料)と酸素があれば育つ。
共に太陽(太極)の光に向かって生きるとイキイキする。
人間も自然が生みだした作品だ。だが意識があるので人為という欲が働き衰える。
人間が繁栄するには、この自然の法則通り原理原則に従って行動することだ。
一番は「至誠」、誠・徳・仁の状態で誰にも負けない努力をする。
次が「勤労」、日常生活を至誠の状態で過ごしていると自ずと行動に現れる。
次は「推譲」、一生懸命働いて子孫のためにお金を貯めて、仕事を譲っていく、与える。
次は「分度」、消費生活は無駄なく、贅沢は謹み、使わざるものを買わない。
個人は「節約」、公人は「倹約」という。
「推譲」は単なる贈与でなく、至誠、勤労、分度の結果、残ったものを推譲する。
すなわち「奪う」から「譲る」へと人格レベルを上げていくことだ。
もう一つの意味は、お天道様に税金払うという公人として働く「他楽」が含まれている。
大事なのは人間の品格を創ると同時に私人から公人になることだ。
現代は欧米の文化の影響で消費は美徳とされて使い捨て商品もたくさんあり、自由で個人が尊重される個人主義時代であるから公人の自覚が薄れている。
または「世間体」という監視が都会ではなくなった。
二宮尊徳さんの表彰制度は村民投票で決める(まさに民主主義)
選ばれた人は自主的に姿勢を高め、選ぶ人は責任がある。
今話題のアメリカン・リーグのMVPに輝いた大谷翔平と彼を選んだ選手と同じだ。
村社会での融資制度は担保を取って貸し付けた。その担保は草鞋を編むことだった。
尊徳は家族経営から企業経営に、さらに地域経営を為し上げた商人道を確立した人だ。
自然には「恵」と「畏れ」を持って、必ず恩返しをしているのである。
最近欧米では「自然」もステークホルダーだと考え、脱炭素や環境に配慮することでSDGsの実現を目指している。
尊徳は先入観なしに自然や人間を観察することが原理原則だと言うのである。
言い換えると、私心を抜いて客観化することだろう。
二宮尊徳の地域起こしは、欧米の侵略による地域起こし・国造りとは違い、助け合いによるものだった。
人材育成もオープンで、フェアープレーで公(民主的)にして、自分の利益は努力すれば儲かるようにしていたのである。
原理原則に従うことで自分のエネルギーが0でも物事が動くんですね。
皆さんは天道に従ってイキイキ楽しんでいますか?