鷲田 清一さんの「折々の言葉」を読むのが楽しみだ。
今朝の新聞にはルネ・デカルトの、
「よい精神を持つというだけでは十分でないのであって、
大切なことは精神をよく用いる事だ」
ルネ・デカルト
この解説が非常に素晴らしいので前文を書かせていただく。
「優れた知性は人は正しく導きもすれば、
謀略や詐欺に役たちもする。
豊かな感情は人を鼓舞もすれば、
嫉妬で狂わせもする。」
その「よく」はどういうことか、
誰にもすぐには見えない。
むしろそれを問い続けるなかに人生の意味がある。
17世紀の哲学者の「方法序説からである。
教育で言われるのは「知情意」バランスよく学ぶとともに、
他人を利する倫理観や道徳観を養っていくのが人格形成であろう。
「知育、徳育、体育」をバランスよく形成するのが目的でなく、
デカルトが言いたいのは、精神を誰にどのように使うかが重要だというプロセス重視であると感じる。
仏教の世界観では「自利利他」の行動こそ大事だと対立する「と」の関係でなく、
融合する「の」の関係にする。「あなたと私」でなく、「あなたの私」と考える事である。
仏教ではこれを無分別知と解くのである。
私のできることは、身の周りの人から感謝し利己心を押さえ、
少しでも利他行をすることから実行することだ。
皆さんは精神を誰のために用いておられますか?